【解説付き】個人事業主の決算整理をやってみた

この記事では、個人事業主で自分で帳簿付けしている人(初心者)向けに、

年度末(12月31日)に行う決算整理仕訳について説明しています。

恐らく一番難しい経過勘定(費用の見越し繰り延べ)について具体的に例を挙げて解説してみました。

つばさ
個人事業主の場合は必ず12月31日が年度末になります。
スポンサーリンク

やること①状況を整理する

まずは、費用がどの時点で発生しているのか、一年間まとめて支払った費用があるかを洗い出します。

ヒカル
この手順は簿記試験の時も同様です。

僕の場合は、以下のような決算整理事項がありました。

  1. 前払費用が2件
  2. 未払費用が3件
  3. 減価償却に関わる事項はなし
つばさ
日商簿記3級の本試験より楽かも?
ヒカル
文筆業だと減価償却しないといけないような資産はまずないから

決算整理事項①前払費用が2件

支払は全てクレジットカード(個人事業主用)で行っています。

前払費用として

経理ソフト代 1年分
1月31日に1年分を前払い、10,560円・月割880円 全額事業用


ドメイン代 1年分
3月31日に1年分を前払い、1,303円・月割108.6円 全額事業用

前払費用の特徴は、発生時点で月割計算が出来ること。

決算整理事項と言っても年度末まで待って仕訳を切らないといけないわけではないので、

僕の場合は発生時に年度末の日付で決算整理仕訳も切っています。

経理ソフトで仕訳を切っているので出来る裏技です。

決算整理事項②未払費用が3件

こちらも全て支払は個人用クレジットカードで行っています。

電気代・インターネット代・サーバー代の3つです。

クレジットカードで払っており、1か月遅れて口座から落とされるので、決算月には未払費用として計上する必要があります。

電気代・インターネット代のように事業用と個人利用が混ざっている項目の場合は、
事業分の割合しか費用計上をしてはいけません(家事按分)
未払費用として

サーバー代
12月の請求は1,100円だった、全額事業用なので1,100×100%=1,100円


電気代
12月の請求額は5,929円だった、20%が事業用なので5,929×20%=1,186円

インターネット代
12月の請求額は4,818円だった、33.3%が事業用なので4,818×33.3%=1.604円

未払費用の場合、請求額が分かるのは兼ね月末になるので期末月に決算整理仕訳を切ることになります。

【超初心者向け】前払・未払費用を使う目的

前払費用・未払費用という勘定項目(経過勘定)を使って、何をしたいのか?それは、

当期にかかった費用だけを計上したい!

これが目的です。

前払費用の場合…年度を跨いだ分を減算する

年初にまとめて本年度のサービス利用料を支払えれば、前払費用勘定を使う必要はありません。

実際は年の途中で年度を跨ぐ形で費用が発生する場合があります。

上記の例では、

  • 会計ソフト利用料の場合…1月末に1年分を払っている→1か月跨ぐ=1か月多く計上してしまう
  • ドメイン代の場合…3月末に1年分を払っている→3か月跨ぐ=3か月多く計上してしまう

が該当します。

簿記の原則として、費用は発生した時点の金額を(証憑を付けて)取引として記録しないといけません。つまり、

このまま記録してしまうと会計年度を跨いで費用を多く計上してしまう

ことになります。費用の過大計上になってしまうので、年度を跨いだ分を減算することで補正をする必要があります。

会計法では前払費用に計上できるのは12ヵ月(1年分)までと決まっています。
12ヵ月を上回って支払った場合は、長期前払費用として資産計上して、
年度末に12ヵ月分を長期前払費用から前払費用に振替処理します。
例えば期首3年分(36か月)のドメイン代を払った場合、
本年度の費用として12ヵ月、年度末に前払費用として12ヵ月、長期前払費用として12ヵ月分を計上します。

未払費用の場合…期末月に該当する費用を加算する

期首から期末までに係る全ての費用が年度末までに事業用の口座から落ちてしまえば、未払費用勘定を使う必要はありません。

しかし、実際は上で挙げた電気代のように年度を跨いで請求が来たり

クレジットカード払い(インターネット代・サーバー代)のように、次の月に口座から落とされたりする請求あります。

期末の月に費用そのものは発生している以上、期末月に該当する費用を加算する必要があります。

長期前払費用があるなら長期未払費用もあるのでは?と思われた方も多いと思います。
勘定項目としてはあるのですが、個人事業主の範囲では使われることはないと考えられます。
サーバー代やドメイン代を2年以上期間を跨いで支払を先延ばしできるサービスなど現状は無いです。
借入金をした場合の支払利息などならあり得ますが、
個人事業主だと信用の問題があるのであまり現実的ではないと思われます。

やること②実際の決算整理仕訳を切る

費用の見越し繰り延べをする場合、補助科目が使えるなら使ったほうが良いです。

前払費用に係るもの

前払費用に係る、費用発生時の仕訳は以下の通りになります。

計算についてはこちら

1/31 通信費(経理ソフト代) 10,560事業主借 10,560
3/31 通信費(ドメイン代) 1,303事業主借 1,303

このままにしてしまうと、上記した通り会計年度を跨いで費用計上されてしまいます

状況を整理します。

  • 経理ソフト代は1か月前払い、月割880円x1=880円
  • ドメイン代は3か月前払い、月割108.6×3=326円
    注意:決算整理仕訳として切る
    12/31 前払費用(経理ソフト1か月分) 880通信費(経理ソフト代) 880
    12/31 前払費用(ドメイン代3か月分)326通信費(ドメイン代) 326

この仕訳を切ることで、

  1. 会計ソフト利用料→11か月分の9,680円
  2. ドメイン代→9か月分の977円

となり、本年度に掛った費用だけを正しく計上できます。

未払費用に掛かるもの

クレジットカードで費用を払っている場合1~11月までの支払はそのまま仕訳を切ります。

12月だけ、月末に決算整理として仕訳を切ります。

計算についてはこちら

注意①決算整理仕訳として切る注意②家事按分後の金額を切る
12/31 水道光熱費(電気代)1,186未払費用(電気代) 1,186
12/31 通信費(インターネット代) 1,604未払費用(インターネット代) 1,604
12/31 通信費(サーバー代)1,100未払費用(サーバー代) 1,100

この仕訳を切ることで、支払が次年度になるものを含みながら1~12月の費用を計上することができます。

やること③期首に再仕訳を行う

決算整理仕訳を切った場合、期首の日付で再仕訳をする必要があります。

再仕訳は自分でしないといけません。やることは単純で、決算整理仕訳の逆をすれば良いわけです。

【超初心者向け】再仕訳の前に…期首の開始仕訳はどうなってるの?

収益/費用に関わる(損益計算書)項目は全てゼロリセットされています。

資産/負債に関わる(貸借対照表)項目だけ期首に持ち越されます。

上記の例の決算整理仕訳だと以下のような仕訳が切られます。

開始仕訳(単純に記載)

注意:決算整理仕訳で追加された分を太字で別記
現金預金など諸資産 XX円買掛金など諸負債 〇〇円
前払費用(経理ソフト1か月分) 880未払費用(電気代) 1,186
前払費用(ドメイン代3か月分)326未払費用(インターネット代) 1,604
未払費用(サーバー代) 1,100
元入金 貸借一致になる金額△△
ヒカル
理屈で理解する場合は、2級の連結会計の理解が必須になります。
一言で書けば「過年度と本年度の連結会計」をしてるだけです。

前払費用に係るもの

前払費用のときと逆の仕訳をするだけなので、

1/1 通信費(経理ソフト代) 8801/1 前払費用(経理ソフト1か月分) 880
1/1 通信費(ドメイン代) 3261/1 前払費用(ドメイン代3か月分)326

となります。この仕訳を切ることで、開始仕訳の前払費用が相殺され、経理ソフト1か月分とドメイン代3か月分の持ち越しの費用が、当期の通信費として計上されます。

未払費用に係るもの…ちょっとズルしてみました

厳密な会計処理と、簡略化した会計処理の両方を記しています。

金額が小さいもの、重要性の乏しいものに関しては簡略化した処理が認められていることを使った処理です。

本来の処理【厳密な方法】

未払費用のときと逆の仕訳をします。

1/1 未払費用 (電気代) 1,186水道光熱費(電気代)1,186
1/1 未払費用 (インターネット代) 1,604通信費(インターネット代) 1,604
1/1 未払費用 (サーバー代) 1,100通信費(サーバー代)1,100

後日、個人事業主のクレジットカードが口座から落ちる日で事業主借勘定を使います。

ヒカル
事業用のクレカで事業用口座から落ちる場合は
事業主借ではなく普通預金勘定になります。
〇〇日 水道光熱費(電気代)1,186事業主借(クレカ払い) 1,186+1,604+1,100
〇〇日 通信費(インターネット代) 1,604
〇〇日 通信費(サーバー代)1,100

ズルした処理【重要性の原則】

クレジットカードで毎月支払う金額が口座から落ちるのは明らかであり、個人事業主なら月割の金額も大きくありません。

そこで、再仕訳の時点で簡略化の処理をします。

1/1 未払費用 (電気代) 1,186事業主借 1,186+1,604+1,100
1/1 未払費用 (インターネット代) 1,604
1/1 未払費用 (サーバー代) 1,100

これで、1月〇〇日の処理を簡略化できます。

簿記3級勉強のススメ

ここまで書いた仕訳は、日商簿記3級の知識を元にしています。ここで例示した、

  • 前払費用・未払費用の経過勘定の決算整理
  • 次年度の期首の再仕訳

以外にも、

  • 減価償却費の計上
  • 前受収益・未収収益の経過勘定の決算整理
  • 長期前払費用から前払費用への振替処理
  • (商品がある場合)仕入額の修正
  • (商品がある場合)棚卸減耗損・商品評価損の算出
  • 貸倒引当金の計上

といった処理も適宜必要になります。個人事業主なら日商簿記3級で充分通用するので、自己投資も兼ねてやってみてはいかがでしょうか?

オススメの簿記勉強法…スクールのスタディングを使う

3級なら独学合格も狙えますが、手っ取り早く習得したいならスクールを使うのがオススメです。

低コストで商業簿記3級・2級合格を目指せるオンライン講座【スタディング】
4.0



資格の受験者の悩みは時間がない、分からない、お金が無いこと。
「スタディング」は、これらの悩みを解決してくれるオンライン講座です。
パソコンに限らず、いつでもどこでも学べる上、一回の教材も15分前後。
テレビ番組のようなビデオ講座はわかりやすいと評判。
問題練習も充実しており、反復演習機能も充実してるので合格への最短ルートを辿れます。
価格は非常に安く、少なめなアウトプットを過去問で補ってもなお安いレベルです。
最大の弱点が質問ができないこと。有料でもいいので付けて欲しいオプションです。
体験講座もできますので、ぜひ公式サイトをご覧ください。
(価格は2022年4月時点)

価格

(2級単体)税込み19,800円 (3級単体) 税込み3,850円

利点

①ネット学習に特化 ②わかりやすいビデオ口座 ③低価格

欠点

①質問ができない ②アウトプットが少なめ(2級は過去問演習が必須) 

価格 5.0
サポート(質問など) 2.5
インプット 5.0
アウトプット 3.5
総合 4.0

ヒカルが使っている会計ソフト…マネーフォワードクラウド

クラウド型の会計ソフトです。もちろん、電子帳簿保存法にも対応しています。

クラウド型の会計ソフト【マネーフォワードクラウド】
4.5

マネーフォワードクラウドは経理用のソフト。
銀行やクレジットカードの連携で、会計処理や経理が非常に楽になります。
連携可能な銀行やクレジットカードなどの金融関連サービス数は3,600以上。
人工知能と機械学習(AI)で、使えばつかうほど便利になっていきます。
インストール式の会計ソフトだと、税制変更のたびにシステムの入れ替えが必要になってしまいますが、
マネーフォワードはクラウドなので、オンライン上の更新だけで完結。

価格

(パーソナルミニプラン)月額税込1078円、一年契約税込み10560円

利点

連携できるカードや口座が非常に多い。特別な仕訳でもなければ売り文句の通りほぼ自動化できる。

欠点

正しい仕訳を知っているのが前提になる。個人事業主にありがちな家事按分が仕訳の時点で自動計算できないのはマイナス。

価格 4.5
他サービスとの連携 5.0
使い勝手 4.0
総合 4.5
最新情報をチェックしよう!