資産運用としての仮想通貨やFXがあまりおすすめできない理由

この記事では「資産運用としては」仮想通貨がおすすめできない理由、「自己投資としては」おすすめできる理由、どうしても仮想通貨を運用してみたい人向けの運用の方法について紹介しています。

1年くらいFXをやってみた感想として書いているので、「FXって稼げるの?」「投資信託と同じドルコスト平均法は通用するの?」と疑問を持ったかたの参考になればうれしいです。

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資産運用としてはあまりおすすめできない理由【投機だから】

総合して、やはり投資ではなく投機の面が強いと言わざるを得ないです。

  1. 値動きの激しい株のようなものだから
  2. 税制が複雑だから
  3. 資金と時間が拘束されるから

それぞれ説明していきます。

ヒカル
自分でもやってみましたが、マインドが結構削られます。ギャンブルが苦手な人、特に資金管理と損切りが苦手なひとはしないほうが良いかもしれないです。

①値動きの激しい株のようなものだから

まず、仮想通貨は通常の株よりはるかに値動きが激しいです。ナスダックや日経平均が数パーセントの上下で暴騰、暴落と話題になる一方、仮想通貨は-5%、多い時は10%前後の値を上下します。得をする確率も高いということですが、逆に言えば損をする確率も高いという事です。

これでナスダックや日経平均と逆の動きをしてくれれば(相関係数がマイナスなら)一種のヘッジとして機能しうるのですが、実態として仮想通貨はナスダックやドル円に大きく影響を受けた動きをしています。

値動きの激しい株のようなものに過ぎないので、インデックス投資をしているなら優先順位は低くなります。

②税制が不利かつ複雑で時間が取られるから

仮想通貨の税制は税理士の方々でも意見が分かれるほど複雑です。具体的な相談、税金の金額の計算は最寄りの税理士に相談されることをお勧めします。

一般的には、

仮想通貨の現物➡「その他雑所得」に合算、総合課税(損益通算不可、給与所得と合算される)、税率は最大55%
仮想通貨のFX➡「先物取引に係る雑所得」に該当、分離課税(損益通算可、申告書第三表に書く)、税率は20%
となっています。海外の口座を使っている場合は税の区分が変わります。
個人の場合では、仮想通貨の現物を持っているだけ(含み益、含み損)では税金は発生しません。あくまで売買したときに利益や損失が出た場合が申告の対象になります。簡単に説明するために、それぞれのケースで「1回しか」売買していないと仮定します。
  • 仮想通貨Aを10万円で取得➡12月31日に20万円になっていたが所持している、買ってから一度も売買してない

このような場合では売買損益が発生していないので、個人の場合は申請の必要がありません。

  • 仮想通貨Aを10万円で取得➡評価額が20万円になったので売却した(10万円の利益)

このケースではその他雑所得として10万円の申請が必要になる場合があります。

  • 仮想通貨Aを10万円で取得➡評価額が5万円になったので損切りした(5万円の損失)

このケースではその他雑所得としては-5万円の申請が可能ですが、雑所得はマイナスの持ち越しがされない(損益通算ができない)ので不利になります。

  • 仮想通貨Aを10万円で取得➡評価額が20万円になったので売却した(10万円の利益)
  • 仮想通貨AでFXを行い10万円の利益と5万円の損失を出した(5万円の利益)

このケースではその他雑所得として10万円、先物取引に係る雑所得として5万円の申請が必要になる場合があります。

このように、仮想通貨の税制は非常にややこしく、時間が取られます。複数回売買していた場合は取得価格に対して総平均法や移動平均法の適用が必要になるので更に複雑になります。(理解するには商業簿記、FPの知識が必須)

一方、国内の証券口座やインデックス投資の場合、特定口座の源泉徴収ありで開設しておけば確定申告の手間すらありません。

申請にかかる時間も財産であることを考えると、自分で申請が必要な仮想通貨は不利と言わざるを得ないのが現状です。

③資金と時間が拘束されるから

現物や先物取引に限らず、仮想通貨で利益を出すのには勉強が必要です。インデックス投資法に比べて必要な知識も増えます。

現物取引で含み益が出ているなら良いのですが、含み損がプラスに転ずるまで保持し続ける、いわゆる塩漬け戦法を取ると長い間資金が拘束されることになります。

先物取引で、売りや買いのポジションを持つと決済するまで資金が拘束されます。チャート分析や仮想通貨の値動きに関わる経済指標(ドル円、ナスダック等)の学習も必要になります。

仮想通貨について勉強すること、口座そのものを持っておくのは悪くない

安定性のある資産運用としてはおすすめできないのですが、

  1. 仮想通貨について勉強すること
  2. 仮想通貨を受け取れる口座を持っておくこと

については良い自己投資だと思っています。それぞれ説明します。

①仮想通貨について勉強すること【タイミング投資の勉強になる】

仮想通貨の値動きをある程度見定めるには、アメリカの雇用率などの経済指標ナスダックやドル円といった他の指標の知識が必要になります。

経済指標が株やほかの指数にどのような影響を及ぼし、仮想通貨にどのような影響を与えるのか勉強すること自体は、非常に良い一生ものの知識になると思います。

②仮想通貨を受け取れる口座を持っておくこと【世の中に浸透しつつある】

仮想通貨を法定通貨にしようとして破綻直前になった、マネーロンダリングへの懸念等、法律面などの整備で問題が多いのも事実ですが、

  • Twitterの投げ銭が仮想通貨で受けられる(ビットコイン、イーサリアム)
  • 実際の店舗の支払いが仮想通貨で可能になっている
  • 実験的に給与の支払が仮想通貨で行われるケースも

といった、徐々に世の中に浸透しつつある側面があるのもまた事実。証券口座と同じように、受け取るための口座を持っておくこと自体は悪くないと思います。

どうしても仮想通貨で資産運用してみたい人向け

【最重要】資産管理と、待つこと

仮想通貨は投機(ギャンブル)としての側面が強いので、資産管理が重要になります。具体的には

  1. リスク・リワードの管理
  2. 損切り

の2つです。FXでは自分の持ち金以上のポジション(レバレッジ)を持つことが出来る一方、損益も大きく上下されます。

そこで大事になるのがリスク、リワードの管理と損切りです。いくら小さい勝利を重ねていても、大きく損をすることがあれば一瞬で資産が失われます。

損切りは一見負けだと思ってしまいますが、大きく損をして資産が減ることを事前に防いでくれる効果があります。

トレードにおける「負け」が多くても、損失さえ少なければ資産を増やすことは可能です。

こちらから相場に働きかけることが出来るのは、エントリーのタイミングと損切りしかありません。

自分が得意な値動きになるまで待つこと、もし想定と逆に動いたら損切りすることしかこちらに取れる行動はありません。

特に2022年の5月は下落相場で、専業トレーダーの方々ですら予想が難しい状況です。

資産を守るのを最優先に行動したほうが良いと思います。

余裕資金の10%~5%で行う

投機としての側面が強い以上、資金を仮想通貨に回す割合は少なくすることが大切だと思います。

全資産が300万、生活防衛資金が100万円のケースで考えます。この場合は余裕資金は200万。

このうちの10%~5%、20万~10万を仮想通貨やFXに回します。

そうすれば、仮に半分になってしまったとしても資金全体で見れば5%の損失、最悪全て「溶かして」しまったとしても余裕資産へのダメージは10%、全資産に対する目減りは3%(10万/300万)に抑えられます。

ナンピンはNG【ドルコスト平均法は不利】

価格が減っても増えても一定の金額だけポジションを増やしていくドルコスト平均法は投資信託においては有効だと思われています。

ですが、ドルコスト平均法が有利なのは「将来上がっていくことが分かっている指標に対して投資をする場合。」だけ。

仮想通貨のように値動きが激しいものに対して一定の金額を投資するドルコスト平均法を実践してしまうと、特に下落相場の場合はポジションを保持する度に含み損が増えていくことになってしまいます。

現物買いは何度かに分けて買う

簡単な勝ち方が、「底」と呼ばれる値段で現物を買う事だと言われています。

ですが、現実としては誰も底なんて予測できません。そこでおすすめしたいのが、資金を分けて買うこと。たとえば30万円分買うとしたら、3回に分けて購入します。

1度に購入してしまったら「底」から値段が更に下がったら身動きが取れなくなってしまいます。何回かに分けて買う事で、値下がりリスクに対応することが可能になります。

まとめ

仮想通貨のFXや投資信託をしてみた感想ですが、適切な銘柄の選定さえ済めばドルコスト平均法一本で戦える投資信託が税制でも時間面でも圧倒的に有利だということが分かりました。

ですが、値動きや経済指標への理解を深められる面では仮想通貨の勉強はとても良い自己投資だと思うので、十分な余裕資金があればチャレンジしてみるのも悪くはないと思います。

ヒカル
VOOやQQQ、VTIといったETFを購入するタイミングにも使えそう。
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