家計簿アプリの利用が普及する中、どのアプリを選ぶか迷う方も多いと思います。
この記事では、人気の家計簿アプリ「マネーフォワードMe」のプレミアムプランと「Zaim」の有料版について、家計簿としての機能および資本管理としての機能を徹底解析。
これらのアプリの共通点をまず押さえ、その後に異なる点を詳しく見ていきましょう。
比較してみた結果
家計簿としての機能、資産管理としての機能の評価で大きく分かれました。
項目 | 勝者 | |
家計簿 | 自動取得の履歴の長さ・機関の多さ | マネーフォワードMe |
仕訳の機能 | Zaim | |
レシート読み取り | Zaim | |
カテゴリ毎集約・編集機能・現金管理 | Zaim | |
月次レポート | Zaim | |
通販利用の管理 | Zaim | |
資産管理 | 自動連携機能の取得間隔 | マネーフォワードMe |
引き落とし額の分かりやすさ | マネーフォワードMe | |
総合的な資産管理(投資信託・株など) | マネーフォワードMe | |
資産間の連携処理 | マネーフォワードMe | |
資産画面の遷移速度 | マネーフォワードMe |
共通している機能(家計簿としての機能)
自動連携機能の取得履歴の期間【マネーフォワードMeの勝ち】
両アプリとも、銀行口座やクレジットカード、電子マネーなどの金融機関と自動で連携し、収支のデータを自動的に取得します。これにより手入力の手間が省け、最新の家計状況を常に把握できます。
但し、マネーフォワードMeのほうが金融機関の履歴が長く取得できます。Zaimは金融機関の履歴の取得期間が短い傾向にあります。また、マネーフォワードMeは金融機関の提携数がZaimの倍近くあります。
自動提携からの仕訳機能【Zaimの勝ち】
金融機関と自動で連携したあと、両アプリとも一覧が出せるのですが、マネーフォワードMeはある程度自分で(カードから支払ったのか、口座から支払ったのか、何を買ったのか)覚えておかないと履歴が分かりにくく、一括編集ができないという欠点があります。
反面、Zaimはユーザーに親切な作りでクレカ払いや口座払いのアイコンが付いている上に店名だけ出してくれるので判別がしやすく、一括編集モードもあるので同じ出費の分類が捗りやすい利点があります。
Zaimはシンプルで直感的なインターフェースで初心者でも使いやすく、入力の手間を最小限に抑えた設計がされています。家計簿アプリを初めて使う方や、複雑な機能を求めない方に適しています。
レシート読み取り【Zaimの勝ち】
スマホのカメラでレシートを撮影するだけで、自動的にデータ化される機能も共通しています。AI技術を駆使して、項目ごとに分類してくれるため、日々の支出管理が簡単です。
カテゴリごとの支出管理【Zaimの勝ち】
家計簿アプリの基本機能として、収入と支出をカテゴリごとに分類して管理できる点も共通しています。食費、交通費、エンタメ費など、自分のライフスタイルに合わせてカスタマイズ可能です。
ただし、カテゴリの編集機能に大きな差があります。マネーフォワードMeでもZaimでも中項目の追加・編集は可能です。
Zaimはこれに加えて、①大項目の編集が可能②中項目の並び替えが可能③大・中項目の非表示が可能という違いがあります。
- 大項目の編集が可能
食費、水道光熱費、娯楽などの大項目の名前が変えられます。例えば食費(必須)、娯楽(要削減)など目的に応じた名前に変える機能があります。 - 中項目の並び替えが可能
「食費」という大項目で食費、コンビニ、外食と中項目があったとすると、Zaimでは使用頻度の高い順に中項目を並び替えることができます。(マネーフォワードでも可能だけどWeb版のみ) - 大・中項目の非表示が可能
「食費」という大きな項目を食費、コンビニ、外食という分類だけで管理して、食料品、朝ご飯、晩ご飯、カフェといった項目は使わないとします。マネーフォワードMeでは、この項目の非表示が不可能である反面、Zaimでは使わない項目の非表示ができます。
現金管理で都度アプリを使うならマネーフォワードの仕様は面倒です。
月次レポート【Zaimの勝ち】
毎月の収支報告書が自動生成され、視覚的に収支のバランスを確認できるのも両アプリの特徴。グラフやチャートで分かりやすく表示されるため、家計の見直しや改善点を一目で把握できます。
まず、マネーフォワードの月次レポートを見てみましょう。
次に、Zaimの月次レポートを見てみます。
マネーフォワードの月次レポートは、大項目が出費の大きい順にソートされてしまいます。年払いの費用など多額の出費が出ると、すこし面倒なことになりそう。
反面、Zaimでは大項目の並び順は固定。どちらが見やすいかは・・・歴然としていると思います。
通販サイト管理としての機能【Zaimの勝ち】
続いて、楽天商店やpaypayストアなどの通販サイト管理としての機能を比較してみました。
2024年4月の楽天市場での集計結果です。
収支は両方とも53290円なのですが、マネーフォワードMeは値引き分が収入として計算されてしまいました。
その反面、Zaimは値引かれた金額が支出として計算されており、収入は0として計算。
追記:マネーフォワードがややこしい処理になってる理由
日商簿記2級を持っているブロガーヒカルが考察してみました。
結論から書くと、
Zaim…総額として正しい処理(家計簿)を前提として作られている
次に、同じ商品を買ったときのZaimの画像を見てみます。
この購入を、企業での商品の仕入れと仮定して仕訳すると以下のようになります。(消費税は考えないとする)
借方 | 貸方 | 備考 |
仕入 5340 | 買掛金 5340 | 商品仕入れ |
買掛金 4152 | 仕入 4152 | クーポンによる値引き |
最終的な仕入れとして計上される総額は5340-4152の1188円になるのですが、Zaim側の仕様だとマネーフォワードクラウドなどの経理ソフトで仕訳するときに1188円になる根拠が分からない不都合が起きます。
経理をする上で指摘を受けにくいのがマネーフォワードMeの表示です。最終結果だけを表示するZaimの表示だと、値引きの事実が証憑を見るまで分からないので不都合が生じることになります。
資産管理機能からみた比較
自動連携機能の取得間隔【マネーフォワードMeの勝ち】
自動提携後の各金融機関の取得間隔。これは資産管理には欠かせない機能になります。
この間隔ですが、マネーフォワードMeはほぼ毎日更新されるのに対して、Zaimは3日以内から7日以内と差があります。
引き落とされる金額【マネーフォワードMeの勝ち】
こちらも画像で比較してみます。
マネーフォワードMeは今月の引き落とし額が明確です。
Zaimでは総資産からカード利用額などの負債を引いた総残高は出せるものの、肝心の今月いくら落ちるかが分かりません。
この点はマネーフォワードの勝ちと言えます。
資産管理の比較【マネーフォワードMeの勝ち】
投資信託、株式、FXなどの資産の管理も、家計の管理では重要になります、総合的な資産状況を把握できる機能を比較してみます。
マネーフォワードMeの資産推移システムが見やすいのが分かると思います。
期間指定が細かくできる、現金や株式といった各資産の割合(アセットクラス)の割合、前の日との比較も出してくれます。
逆にZaimは「資産管理コース」を選ばないと資産推移が見られません。各資産の割合(アセットクラス)の割合は見られるものの、別のページで見ないといけません。
また、「資産管理コース」を選ぶと家計簿初心者向けの「基本コース」、貯金額を増やす「貯金体質コース」が選べなくなるのも欠点。
次に、株式など単位資産ごとの比較も見ていきましょう。ここでは、4月28日に購入したETF(バンガード超長期米国債)を例にします。
マネーフォワードMeでは取得金額と評価損益率が見やすいです。どの口座(普通・特別・積み立てNISA・新NISA)で買ったのかも分かります。また、外国株・外国ETFでは外貨/円貨の切り替えが可能で外貨として純粋に増えたのかどうかの判別も可能。
Zaimでは円貨のみの取得金額と評価損益は分かるものの、評価損益率は分かりません。外貨/円貨の切り替えが不可能なので、外貨として純粋に増えたのかどうかの判別もできません。
資産で資産を買った・投資したときの連携処理【マネーフォワードMeの勝ち】
株やETFは、つみたてNISAや新NISAと違って、「臨時かつ多額の出費(振替)」になりやすい性質があります。
そのため、金融機関の情報取得時に自動で連携して振り替えてくれるかどうかが要になります。こちらも比較してみます。
4月28日に購入したETF(バンガード超長期米国債)を例に説明します。
マネーフォワードMeでは楽天銀行から楽天証券への振替ができるので、資産間の連携ができています。
反面、Zaimでは銀行口座から証券口座への振替ができません。「常に集計に含めない」ことで対策はできますが、資産間の連携ができているとは言えません。
資産画面の遷移の速さ【マネーフォワードMeの勝ち】
比較のために何度も画面を遷移していて、気になる点がありました。Zaimの場合、資産の表示だけでなく株や投資信託の各画面に移動する度にこの画面が表示されます。
2秒くらいなので最初は気にならなかったのですが、一度だけなら兎も角、移動する度に出るのでかなり気になります。
対して、マネーフォワードMeは資産画面の推移がほぼ一瞬でスムーズに感じました。
どちらのプランでもできないこと…配当キングで解決
配当金の予測・アセットクラス比較
ZaimもマネーフォワードMeのスタンダードプランでも、配当金(予測)や株式の構成割合を見ることはできません。
マネーフォワードMeのプレミアムサービス 資産形成アドバンスコースなら可能なのですが、¥980/月と如何せん価格が高すぎます。
マネーフォワード電気、マネーフォワード光を契約してても安くなりません。資産形成アドバンスコース専用の機能がWeb版サービスで使えないのも欠点。
そこで、「配当キング」を使いましょう。資産は手入力しないといけないものの、資産ごとの割合、アセット、年額・月額両方の配当金、年利を簡単に管理することができ、銘柄毎の配当金ももちろん、配当利回り、株価、権利落ち日、配当支払月も確認できます。無料とは思えない機能なので使わせてもらいましょう。
(公式紹介より引用)
スマホ一つで配当金ポートフォリオ作成!
資産管理にも、配当金管理にも使える。
投資初心者でも簡単に扱えるお手軽配当管理アプリです。
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デザイン・使いやすさ
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・飽きが来ないシンプルなデザインで、使いやすく誰でも迷わず利用することができます。
・登録した銘柄の配当金、年利が一覧表示で簡単に管理することができます。
・グラフを使って視覚的に分かりやすい配当管理をすることができます。
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機能
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■資産管理
・銘柄毎に株数と購入株価を入力し、評価額を確認することができます。
・銘柄毎の評価損益、配当額、年利を確認することができます。
・取得価格と現在株価を切り替えることができます。
■配当金
・銘柄毎に株数と購入株価を入力し、配当金を確認することができます。
・配当金を円グラフで表示し、銘柄の割合を確認することができます。
・入金月毎の配当金を確認することができます。
・銘柄毎の配当金、配当利回り、株価、権利落ち日、配当支払月を確認することができます。
■グラフ表示
・配当金を銘柄毎かセクター毎で円グラフ表示を変更することができます。
・配当金を証券会社毎に表示を変更することができます。
・月額毎の配当金額を棒グラフで表示することができ、選択した月の配当金がリスト化され表示されます。
使い方をまとめた記事を作成しました。併せてご覧いただけたら幸いです。
この記事を要約すると・・・?証券口座の情報を入力:証券口座の種類、銘柄、数量、平均取得額などを手入力する。10分待つ:入力した銘柄の情報が反映できるまでに10分待つ。情報漏洩の心配なし:証券会社と連携しないため、情報漏洩の心配がない。配当[…]
配当金の収入履歴管理
ZaimもマネーフォワードMeのスタンダードプランでも、原則配当金の履歴の管理をすることはできません。
マネーフォワードMeのプレミアムサービス 資産形成アドバンスコースなら可能なのですが、¥980/月と価格が高いです。
マネーフォワードMeのスタンダードプランでも、楽天証券のマネーブリッジ機能の預り金を使えば、疑似的に管理は可能なのですが、株や投資信託の売買のための預り金と配当を受け取ったときの預り金が同一のため配当が振り込まれるまでは株や投資信託やETFの売買はしてはいけないという縛りが発生してしまいます。
マネーフォワード側でも株や投資信託の売買のための資金移動と配当を受け取ったときの預り金の資金移動が同一名称のため、区別が困難という状況です。
配当キングの無料プランでも、配当の予測はできるものの履歴の管理はできません。
まとめ
2024年時点で家計簿ソフトのツートップ「マネーフォワードMe」と「Zaim」ですが、設計思想には明白な違いがあることが分かります。
Zaim→純粋な家計簿ソフトとしての使い勝手。シンプルで直感的、初心者でも使いやすく、入力の手間を最小限に抑える
- 総合的な資産状況を把握、積極的運用スタイルで確定申告とも絡めたい、家計簿は70点で良く現金はあまり使わない→マネーフォワードMe
- 純粋な家計簿ソフトとしての使い勝手が重要、現金管理が多く入力の手間を減らしたい、資産運用は消極的→Zaim
どちらのアプリも無料版から試せるので、まずは気軽にダウンロードしてみて、自分に合った方を見つけてください。家計管理がしっかりできると、日々の生活がもっと豊かになるはずです。
書いてる人はどちらを使ってるのか【両方】
節約ブロガーヒカルとガンサバイバーつばさでは、両方とも使っています。
資産管理に優れてるマネーフォワードMeでカードや資産を計上して、無料でも取得履歴の一括変更が可能なZaimで通販サイトを集計することで、いいところだけを最小限のコストで利用することができるからです。
家計簿アプリを使っていて迷う、通販・ポイント・投資信託の処理を解説している記事を紹介します。
この記事を要約すると・・・?通販サイト利用分とポイント消費は振替処理投資信託は「投資原価」として支出扱いマネーフォワードMeで「投資原価」の項目を作る方法についてクレジットカードや銀行口座の履歴から自動的に家計簿を作ってくれるマネーフォワ[…]
総合的な資産管理・投資を重視するなら「マネーフォワードMe」
家計簿を紙からデジタルに変える自動家計簿アプリ。
銀行口座や複数のクレジットカードを連携することで、自動で収支が見える化され、めんどくさい家計簿作成からおさらばできます。
提携金融機関もトップクラスに多く、電子マネーやポイントサイトはもちろん、殆どのネットショップと連携可能。
楽天証券やSBI証券といった証券口座も連携できるので、資産運用されている方にもおすすめ。
詳細な項目を自動で分類し、カテゴリまで仕訳された家計簿が自動で作成できます。
AI系にありがちですが、最初の仕訳は間違えることがあります。修正していくと間違えなくなります。
Zaimと違い、大項目の編集が出来ないので完璧なマイ家計簿作成には不向きとなります。
反面、系列サービスに個人事業主・法人向けの金融系が多く、確定申告に強いソフト。
Zaimには無い利点なので、個人事業主ならマネーフォワード一択になりそう。
価格 | (無料会員)無料 (スタンダード)[android]税込み月額500円 [ios]税込み月額480円 |
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利点 | マネーフォワード電気に入ればスタンダードプランが事実上無料に。確定申告に強い(マネーフォワードクラウド) |
欠点 | 有料プランへの加入はほぼ必須。大項目の編集が出来ず完璧なマイ家計簿作成には不向き。 |
どんな人に向いてるか |
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向いていない人 |
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他関連記事 | Zaimとの比較 |
シンプル・直感的な操作性、現金管理を重視するなら「Zaim」
Zaimは、家計簿アプリとして多くのユーザーに支持されているサービス。
家計簿だけでなく、予算管理、自動仕訳など欲しい機能が盛りだくさん。
特に優れてるのはレシート撮影の制度。マネーフォワードMeより機能・制度共に上です。
無料でも連携数は無制限(無料版マネーフォワードMeでは4件まで)。
また、マネーフォワードMeではできなかった自動仕訳の大項目の編集が可能(有料プラン)で、
完全なマイ家計簿作成が出来るのはZaimだけ。
また、マネーフォワードMeでは出来ない内訳の按分も可能。
その反面、マネーフォワードMeと比べると提携金融機関が少なく、資産管理・確定申告に弱い欠点も。
(かつては弥生会計と提携していたのですが無くなりました)
価格 | Web経由なら440円/月、android及びappstoreは480円/月 |
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利点 | 内訳の按分が可能。有料プランなら完全なマイ家計簿作成が可能。レシート撮影に強い。 |
欠点 | マネフォと比べると自動取得の頻度が低く提携金融機関が少なく、資産管理・確定申告に弱い。 |
(重要)弥生会計との提携終了について | 公式サイトよりお知らせ |
向いている人 |
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向いていない人 |
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他関連記事 | マネーフォワードMeとの比較 |
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