日商簿記3級の目的については商工会議所のホームページに書いてあります。
業種・職種にかかわらずビジネスパーソンが身に付けておくべき「必須の基本知識」として、多くの企業から評価される資格。
基本的な商業簿記を修得し、小規模企業における企業活動や会計実務を踏まえ、経理関連書類の適切な処理を行うために求められるレベル。
2級も同様に、目的が書かれています。
高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル。
3級の本質は基本(母の記事より引用)でした。
では、2級の本質とは何なのか?僕の考えですが、2級のテーマは振替だと思っています。
商業・工業で振替処理が出てくる場所
3・2級の学習範囲で振替処理が出てくる場所について列挙します。大まかですが、3級は2回、2級は24回出てきます。
商業簿記
- (3級論点)費用収益の見越し繰り延べ・・・決算時に費用・収益を本年度だけに対応させ、本年度ではないものを振替する
- (3級論点)売上原価の算出・・・期首在庫を仕入れから差し引き、期末在庫を仕入れに振替する、いわゆるしーくりくりしー
- 火災による滅失・・・未決算勘定の計上➡確定時に未決算勘定のうち保険金で相殺できないものを火災損失か保険差益に振替する
- 建設仮勘定・・・計上時に建設仮勘定に計上➡完成時に建物勘定や構築物勘定に振替する
- ソフトウェア仮勘定・・・計上時にソフトウェア仮勘定に計上➡完成時にソフトウェア勘定や保守費勘定に振替する
- 長期前払及び前受・・・2年以上の前払及び前受➡決算時に支払った(受け取った)ものを本年度・来年度・それ以降に振替する
- 手形の更改・・・受け取り(支払)手形の期限を更新するときは前の手形を新しい手形に振替する
- 割賦購入・・・支払時に未払金と未払利息を現金預金系の勘定と支払利息勘定に振替する
- 費用系勘定の未渡小切手・・・決算時に逆仕訳で取り消して費用系勘定を未払金勘定に振替する
- ファイナンスリース・・・支払時にはリース債務勘定を現金預金系の勘定に振替する
- 関連会社株式の過半数を取得・・・関連会社株式勘定から子会社株式勘定に振替する
- 資本金増設・・・会社法に規定する最低限度額を資本金勘定から資本準備金勘定に振替する
- 利益剰余金の配当・・・繰越利益剰余金勘定から利益準備金勘定や未払配当金勘定に振替する
- 配当金支払・・・支払時に未払配当金勘定から支払配当金勘定に振替する
- 受取配当金の源泉徴収・・・受け取り時に、現金預金系勘定と仮払法人税勘定(税金)を合算して受取配当金勘定に振替する
- 本支店会計・・・本店集中処理制度の支店間の取引は本店勘定を用いた振替が多発
連結決算
- 開始仕訳・・・資本金系勘定と子会社株式を振替、非支配株主持分(期首)で相殺できないものをのれん・負ののれん勘定で処理
- 配当金の取り消し・・・子会社の配当金を、受取配当金勘定(借方)と非支配株主持分当期変動額勘定(借方)に振替
- のれん償却・・・のれん勘定をのれん償却勘定に振替
- 子会社の純利益・・・子会社の持ち分を子会社に帰属する当期純利益に振替する(相手は非支配株主持分当期変動額)
- 成果連結・・・親子間の取引すべて振替処理(相殺)
- 未実現利益・・・利益相当額をしーくり(売上原価勘定と商品勘定)に振替する
- ↑の実現(前期から取引あり)・・・連結開始仕訳の利益剰余金期首(過年度なので売上原価は利益剰余金期首残高)と商品を、商品と売上原価勘定処理➡商品勘定から売上原価勘定に振替されて借方利益剰余金(期首)、貸方売上原価になる
工業簿記
- 原価計算全般・・・賃金給料系と材料と経費系(直接作業)➡仕掛品、間接作業➡製造間接費、仕掛品➡商品、商品➡売上原価など振替が多発
- 製造間接費・・・仕掛品➡①製造間接費予定配布(貸方)に振替、現場に要する各費用(間接)➡②製造間接費(借方)に振替、①②の差を差異とする
- 製造間接費の一次・二次配布➡一次配布したリソースを合計して二次配布に振替する
2級が難しい理由
単純に範囲が倍以上に増えているのもありますが、最大の理由は振替処理が多発するからだと思います。3級での振替処理は極端に書けば年度末の費用の見越し繰り延べと売上原価の算出くらい。(総勘定元帳の前期/次期繰越や損益も振替ですがあまり問われません)。
振替処理が多発する、ということは3級の論点に加えて2級に出てくる勘定の意味を理解している上で、イメージしながら逆にすることを求められます。
手っ取り早く2級に合格するには?
母の記事でも紹介されてる通り、スクールがいちばんだと思います。
商業系の学校を出て、クレジットカード会社に勤務していたわたしがおすすめする資格は、商業簿記3級です。3級・2級習得のメリットを書いていきます。CBT試験の導入でいつでも受けられるように!以前は2,6,11月の統一試験しかありません[…]
受験予備校には、多くの受験者を合格に導いた教え方、理解のさせ方、問題集といったノウハウが蓄積されています。
コロナ禍のいまでも、通学ではなくネット学習・ネット講座の受講ができるスクールが多数あるので、検討されてみてはいかがでしょうか?
ネットスクール比較と簡単な紹介
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最大の弱点が質問ができないこと。有料でもいいので付けて欲しいオプションです。
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(価格は2022年4月時点)
価格 | (2級単体)税込み19,800円 (3級単体) 税込み3,850円 |
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利点 | ①ネット学習に特化 ②わかりやすいビデオ口座 ③低価格 |
欠点 | ①質問ができない ②アウトプットが少なめ(2級は過去問演習が必須) |
価格 | 5.0 |
サポート(質問など) | 2.5 |
インプット | 5.0 |
アウトプット | 3.5 |
総合 | 4.0 |
過去の本試験出題問題を科学的に解析し厳選した「合格必要得点範囲」を重点的に
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スマホはもちろんパソコンやタブレットでも学習できるマルチデバイス対応。
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価格 | (簿記2級パック)税込み53,000円 (簿記3級パック)税込み14,800円 |
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利点 | ①ネットだけでなくサポート面も充実 ②答練・公開模試などアウトプットが充実 ③資料請求ができる |
欠点 | ①サポートとアウトプットが充実しているので、価格が高め(但し月によっては割引アリ) |
価格 | 3.0 |
サポート(質問など) | 5.0 |
インプット | 4.0 |
アウトプット | 4.5 |
総合 | 4.0 |
独学道場で有名。通信講座も選ぶことができます。
特に、「スッキリうかる」(わかる)シリーズの本は他のスクールで勉強されている学生さんにもおすすめの問題集です。
3級だけなら独学道場のスッキリシリーズだけでどうにかなってしまうほど完成度が高いのが特徴。
独学道場(2級スッキリコース)は比較的安めですが、Web通信講座(2級合格本科生パック)や通学となると、78,000円以上と高額になってしまいます。
価格 | 独学道場(2級単体)税込み26,800円~ (3級単体) 税込み7700円~ |
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利点 | 独学道場なら安め、スッキリシリーズだけでどうにかなってしまうほど完成度が高いテキスト |
欠点 | Web通信講座や通学となると高い |
価格 | 3.5 |
サポート(質問など) | 5.0 |
インプット | 4.0 |
アウトプット | 4.0 |
総合 | 4.0 |
1987年から続く難関資格の老舗。Web講座だけでなく通学も可能。
通学講座はWebやDVDのフォロー付で欠席してしまっても安心。
もちろんWeb講座は無料で体験可能。
簿記に限らず様々な分野の講座も請け負っており、受験を知り抜いた専門の講師の評判も高い。
書店で買えない専門書が買え、なんと最大10%OFF。
難点としては、通学環境と有名講師陣をそろえてる反面価格が高めなこと。
以前は他社講座と比べてWeb講座の受講期間が少なめのが欠点でしたが、延びました。
価格は2022年4月時点、Web講座のもの。
価格 | (簿記2級)税込み57,750円 (テキストあり)税込み63,800円 |
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利点 | ①書籍がある ②選べるプランが豊富で講師も選べる ③通学可能 |
欠点 | 価格が高め |
価格 | 2.0 |
サポート(質問など) | 4.0 |
インプット | 5.0 |
アウトプット | 5.0 |
総合 | 3.5 |