TACのネット試験サンプルはこちら(模擬試験問題1(TAC出版))。
こちらも解説がないので、つばさの息子のHikaruが解説します。
(簡略化のため、万単位が使えるところは万で回答しています。)
大門1(16/20点):基本的な仕訳を完璧に。未払消費税、企業合併、その他有価証券の税効果会計。
大門2(12/20点):有価証券の処理をスピーディーに。株式A、株式B、株式D、債券Cを効率的に処理。
大門3(16/20点):残高試算表からB/Sと売上総利益を導出。備品の期中売却、その他有価証券の税効果会計など注意。
大門4(24/28点):工業簿記仕訳と製造原価報告書。材料、加工費、製造間接費を分析。
大門5(9/12点):製造原価カード、差異分析、シュレッター図など総合力がチェックされる。
解く順番
解く順番は、14532です。2の有価証券系は計算がたくさん必要なので最後に廻します。
大門1 難易度:易 基本的な仕訳
1.未払消費税の処理
基本的なフォームに当てはめると、仮払<未払であることから未払消費税であることが分かります。
仮受消費税 60万 | 仮払消費税 40万 未払消費税 20万 |
2.企業の合併
現金・売掛・建物は資産。借入金は負債。資本金繰入額に指定(250万)があることに注意して下さい。
発行額は@60000×75=450万。(資本金250万、資本準備金200万)
差額をのれん、または負ののれん発生益で処理。
現金 130万 売掛金 85万 建物 375万 (上合計590万) のれん 10万 | 借入金 150万 資本金 250万 資本準備金 200万 (合計600万) |
3.その他有価証券の税効果会計
495000→490000に価格が下がっています。つまり「その他有価証券」勘定が貸方。
5000のうち40%が税効果会計の対象になるので、2000円が繰延税金資産になります。
繰延税金資産 2000 その他有価証券評価差額金 3000 | その他有価証券 5000 |
4.引当金の割り当て
ボーナス問題。回答の通りなので省略。
5.株式の期中購入・売却
ここでの論点は、一株あたりの価格がいくらか。平均法で記帳している、と注意書きがありますので、平均を計算。
- @1300×200=26万(付随費用なし)
- @1260×100=12.6万(付随費用なし)
- @1552×100=155200(付随費用なし)
合計して、400株、541200なので、一株当たり@1353円になります。
@1345円で売却してるので、差額の@8×250=2000円の損が出ていることが分かります。
有価証券売却損 2000 未収入金 336250 | 売買目的有価証券 338250 |
大門4 難易度:易~普通 工業簿記仕訳・製造原価報告書
1.工業簿記仕訳
Box図を書いて回答します。
材料(平均)
月初 500 @1800 90万 | 当月使用 1800 @1950=351万 |
当月購入 1500 @2000 300万 | 月末 (必要なし) |
合計 2000kg 390万 ➡単価は@1950(これを使う) |
問2は直接作業=仕掛品勘定(3200H,320万)、間接作業=製造間接費勘定(800H,80万)になります。
問3は予定配布問題。
予定単価が5600万/4万=@1400と出ます。問2で直接作業時間が3200Hと分かっているので掛け算して、448万。
問1 仕掛品 351万 | 材料 351万 |
問2 仕掛品 320万 製造間接費 80万 | 賃金・給与 400万 |
問3 仕掛品 448万 | 製造間接費 448万 |
2.製造原価報告書・P/L作成
予定配布が使われています。製造原価報告書では予定配布額に修正、P/Lでは実際発生金額に補正することに注意。
素材(直接材料費に転写)➡4000+31600-4800=30800
補助材料(製造間接費に含む)➡360+4300-400=4260
直労(直接労務費に転写・全額直労)➡580+26200-600=26180
間労(製造間接費に含む)➡220+14500-250=14470
次に製造間接費だけTフォームで集計します。資料4~14において工場に関係するものはすべて製造間接費です。
借方 | 貸方 |
補助材料 4260 間労 14470 資料6と7 1960 資料8と9 1200 資料10 1400 (合計 23290) | 資料12 配布 22000 |
以上より製造原価が出せます。
借方残高が23290になったので、1290不利差異が出ています。
直材 30800
直労 26180
製間 23290(⇦実際発生金額。下で予定価格に補正します)
小計 80270
製造間接費配布差異 [-] 1290
当期製造費用 78980
期首仕掛 6500
合計 85480
期末仕掛 7100
当期製造原価 78380(損益計算書に転記)
次に「販売費および一般管理費」を出しておきます。合計は9210になります。
↓もし販売費と一般管理費が分かれていた場合↓
販売費 | 一般管理費 |
資料5 販売員給与 2300 資料13 その他販売費 1420 | 資料4 本社建物減価償却 1200 資料11 本社役員 2400 資料14 その他一般管理 1890 |
あとは、上の数値を転写していけば回答になります。
大門5 難易度:やや難 製造原価カード・差異分析・シュレッター図の複合問題
標準原価カードはあるのですが、標準作業時間などが分からないので計算して出さないといけません。
また、kgや時間など単位が混ざっています。原価カードの見落とし、集計ミスが大失点につながるので注意。単位まで書くことを強く推奨します。
まずは材料のBOX図を求めます。
材料
月初 0個 | 当月完成 2300個 |
当月投入 2500個 | 月末仕掛 200個 |
次に加工のBOX図を求めます。
加工費
月初 0 | 当月完成 2300個 |
当月投入(計算で出す、2300+100) 2400個 | 月末 200×50%=100 |
次に材料のkg数を求め、差異分析に必要なデータを集計します。
- 当月投入分➡2500個x原価カード10kg=25000kg、予定単価500
- 実際消費➡25800kg,実際単価510
(+10)➡価格:不利差異 25800×10=258000 | ||||
|
次に、加工費の時間を求めます。
- 当月加工分➡2200個x原価カード5H=12000H、予定単価800
- 実際消費➡12800H,実際単価780
(-20)➡賃率:有利差異 12800x(-20)=-256000 | ||||
|
問1、問2は上で出た数値を移すだけです。
最後に製造間接費の分析をします。
原価カードより、標準原価が900,変動費率が500と分かっているので、
製造間接費の標準原価=固定費率+変動費率
より、固定費率=400が導けます。月額の固定費が540万なので、540万/400=13500Hの基準作業時間が求められます。
あとはシュレッター図に当てはめるだけ。
必要な数値は以下の通りになります。
- 固定費➡540万 固定費率➡400 変動費率➡500
- 標準作業時間➡12000H 実際作業時間➡12800H 基準作業時間➡13500H
操業度差異➡(13500-12800)x400=28万(不利)
固定・変動能率差異➡(12800-12000)x(500+400)=72万(不利)
予算差異➡①許容予算=540万+500×12800=1180万、実際発生金額は12032000なので差額をとって232000円(不利)
以上をまとめたものが回答になります。
大門3 難易度:やや難 残高試算表・B/S・税効果会計
ベーシックな問題と思いきや、備品の期中売却、その他有価証券の税効果会計、償却原価法による債券の評価替えなど二級の論点が詰まっています。また、現金預金がひとつの勘定になっていることにも注意が必要です。
B/S問題が難しいのは、支払法人税が割合指定だとP/L項目も税引き前当期純利益まで計算しないといけなくなるからですが、今回は決算整理事項の10で「課税見込み額は248150である」と数値で指定してあります。
回答が求められるのはB/S項目と売上総利益。
P/L項目の売上高、仕入原価、商品評価損(問題文より棚卸減耗損は含めない)を出す必要があります。
1.当座預金に関する決算整理事項
1.売掛の未処理 現金預金 40000 | 売掛金 40000(164000→124000に変動、注意) |
2.未取り付け小切手 処理の必要はなし | |
3.未渡小切手 現金預金 10000 | 未払金 10000 |
3.の家賃の処理だけ注意。売上債権以外の未渡し小切手は未払金として処理します。
2.貸倒引当金の設定
受取手形➡396000 売掛金➡164000-40000=124000 合計52万 2%なので10400が貸倒引当金になります。
求められてるのはB/Sなので繰入額を出す必要はありません。
3.売上原価の算出
商品Aの帳簿価格➡400x@540=216000 同じくB=300x@400=12万の合計336000
売上原価の算出をする必要があるので「しーくりくりしー」します。
仕入 267000 | 繰越 267000 |
繰越 336000 | 仕入 267000 |
以上より、仕入=2233000になります。
次に、「商品評価損は売上原価に入れる」と指示があるので商品評価損を出します。
- 商品A➡@540から@500に評価落ち、40×350個=14000
- 商品B➡400から430に上がってるので評価しない
よって商品評価損は14000。2233000+14000で売上原価は2247000になります。
したがって、売上総利益=392万-224.7万=167.3万円。
次に棚卸減耗損を出します。
- 商品A➡50x@540=27000
- 商品B➡10x@400=4000
合計31000になります。繰越商品=336000-14000-31000=291000。
4.満期保有目的債券の償却原価法による評価替え
残高試算表より取得価格は43万。額面50万、発行と同時に取得してるのでタイムラグは考えなくて良いです。
一年あたりの償却額は(50万-43万)/5年=14000。
10/1に取得したので半年持っていることが分かるので、14000/2=7000。
よって、437000が評価額になります。
5.その他有価証券の税効果会計
23万から25万に上がってるので、その他有価証券勘定は借方。税効果会計は差の20000×25%=5000。
その他有価証券 20000 | 繰り延べ税金負債 5000(要チェック) その他有価証券評価差額金 15000 |
6.子会社株式の評価替え(罠)
ワナ。子会社株式の評価替えは、
- 取得時より50%以上時価が下落
- 下落した時価の回復可能性がない
ことが条件なので、今回は対象外です。
7.固定資産の期中売却を含む処理
建物は普通。120万x0.9(残存価格)/30年=36000が減価償却。累計額は合計して、396000になります。
問題は備品です。
期中売却によって備品価格、備品累計額が低下しています。
- 備品➡100万-20万=80万
- 備品累計➡257600-97600=16万
よって、(80万-16万)x20%=128000が減価償却額になります。
累計額は16万+128000=288000円
8.退職給付引当金の繰り入れ
退職給付費用 5万 | 退職給付引当金 5万 |
合計して55万。
9.支払利息の月割計上
3/1に借りたので計上するのは1か月分のみ。
30万x2%/12=500。
支払利息 500 | 未払費用 500(B/L) |
10.法人税の算出(罠あり)
普通は、割合で書いてあるのですが、今回は支払税額が書いてあります。
しかし、このまま書いてはいけません。残高試算表に「仮払法人税」が10万あるので、差し引いて納税額を出します。
よって、248150-10万=148150が未払法人税になります。
11.繰り延べ税金資産・繰り延べ税金負債の相殺(罠あり)
「将来減算一時差異」で混乱するかもしれませんが、期首の145000を税率25%で掛けると、36250円が導かれます。
同じように、期末の158900に税率25%を掛けると39725。これが期末の繰り延べ税金資産です。
これも、そのまま書いてはいけません。
5.で税効果会計で繰り延べ税金負債が5000発生しているので、相殺する必要があります。
39725-5000=34725。これが繰り延べ税金資産の残高になります。
最後にやること
以上でB/Sの「繰越利益剰余金」以外の勘定が埋まるので、差額で「繰越利益剰余金」を出します。
大門2 難易度:難 有価証券
問題を一読すると、有価証券の正体が分かります。
- 株式A➡売買目的、何回か取引
- 株式B➡子会社株式、1回のみ
- 債券C➡期中取得の満期保有目的債券(後回し!!!)
- 株式D➡その他保有目的、1回のみ、税効果会計あり
これより回答順は、
株B➡株D➡株A➡債券C
あまり時間が残ってないと思うので、部分点だけ狙っていきましょう。
株式B 子会社株式
6/15のみ、一回だけしか出てこない上、評価替えも不要。@2000×12000=2400万
問2、子会社株式おわり。
株式D その他有価証券+税効果会計
8/4と期末の税効果会計。取得価格は@1500×500=75万。期末価格は@1700なので@200×500=10万プラスの評価替えになります。
税率25%を掛けて25000。
その他保有目的 10万 | 繰越税金負債 25000 その他有価証券評価差額金 75000 |
よって、問3の答えは75000で貸方残高になります。
株式A 売買目的有価証券
時間がない場合は回答用紙の日付を見ましょう。仕訳しないといけない日付が書いてあったらラッキー。
この場合も売買目的有価証券➡売買など勘定を省略したほうがよいです。
株式Aの評価額
5/3 +1000 @1000 | 合計100万 |
9/8 +200 合計1200株 問題文より26万 | 合計126万 |
平均法より 126万/1200株=@1050 | |
10/31 -100=1100株 | 合計 1155000 |
5/3 購入 売買 100万 | 未払 100万 |
9/8 購入 売買 100万 | C 100万 |
10/31 売却 C 110万 | 売買 100x@1050=105000 売却益 5000 |
3/31 評価替 1050→1100なので価格上昇 1100株 売買 55000 | 有価証券評価益 55000 |
3/31 繰越 次期繰り越し 121万 |
株式C 満期保有目的債券(期中取得)、償却原価法
額面1000万、95.8%、端数利息18000なので、購入価格は958万。
12/31の利息は丸々計算します。
1000万x0.36%=36000
3/31には処理が二つ。
- 償却原価法
- 未収有価証券利息
まずは償却原価法から。発行日と購入日にタイムラグがあるので、月割で計算します。
x7年7/1~x10年12月31=12+12+12+6=42か月。
今期分はx7年7/1~x8年3月31の9か月。
よって、(1000万-958万)/42×9か月=90000
最後に未収有価証券利息の計算。
1/1~3/31の三か月なので
1000万x0.36×3/12=9000
以上をまとめると以下のような仕訳になります。
7/1 購入 満期 958万 有価利息 18000 | 当座預金 9511800 |
12/31 利息の受け取り 普通預金 36000 | 有価利息 36000 |
3/31 償却原価法 満期 9万 | 有価利息 9万 |
3/31 未収入金の計上 未収入有価利息利息 9000 | 有価利息 9000 |
有価証券利息の損益勘定は貸借一致より117000、満期保有目的債券の評価額は958万+9万=967万(問2の満期保有目的債券)になります。
目標:77点
大門1 16/20点 大門2 12/20点 大門3 16/20点 大門4 24/28点 大門5 9/12点が目標だと思われます。
つばさの息子が学習したスクールはこちら
息子が学習していたスクールについては、こちらで紹介しています。
息子がネットスクール(スタディング)で簿記の勉強を始めた最初に要点だけをまとめます。スタディングの良かった点・合格に繋がったこといつでもどこでもスキマ時間に論点をインプットできる。実践力アップテストが理解に役立つ。講師との[…]
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ネットスクール比較も、あわせて紹介しておきます。
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